吾野原木センターで、それとなくその巨木を見せられ、「世の中には、ずいぶん大きな木があるもんですね。凄いな」などと、他人事のように主人が言うと、待ってましたとばかりにOさんが、「この木、磨くと、すごく良くなるよ。使ってみませんか」その言葉に、主人よりも先に反応したのは、私だった。実は、以前、ある建築家の方の家で、高野山の樹齢700年、直径1・5メートルという巨大なスギの木を、大黒柱にした自宅を見せていただいた事があった。
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そのスギの表面は、顔が映るくらいにピカピカに磨き上げられていて、金色に光を反射していた。中には太古の息吹を思わせる空洞があって、まさに“神々しい”という表現がぴったりだった。その高野山の巨大スギも、Oさんが調達したものだった。「あのスギも、Oさんとこの木でしたよね」私の言葉を待っていたかのように、Oさんが身を乗り出してきた。「そう、でもね、ケヤキというのは、しっかり磨けば、スギなんかとは比べ物にならないほど、素晴らしい艶が出るよ。天然のケヤキの赤さは、たとえようもないほどの極上の色だ」目の前にころがっている、半分腐りかけた巨木が、磨げば、本当にあの樹齢700年の高野山のスギよりも素晴らしい木になるのだろうか。半信半疑に思いながらも、私は、ケヤキの巨木に魅かれ始めていた。